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オペラ歌手江口二美(えぐちつぐみ)の日々のいろいろ

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tsuguminae

Author:tsuguminae
ご訪問ありがとうございます。東京在住のオペラ歌手・声楽家の江口二美(えぐちつぐみ)です。
15年分のブログを引き連れてお引越しすることが出来
ず、2021年4月からこちらで新しくスタートしています。2021年3月までのブログは「旧」に残しています。
http://tsugumi-e.jugem.jp/

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オペラ「おこんじょうるり」

新境地開拓中の役で本番おさめでした。
売れっ子になった?!と勘違いしそうな(笑)怒涛の本番ラッシュを乗り切りました!身体も脳もよく頑張ってくれました。
ずっとこれくらい忙しいといいんですけどねぇ…この後は普通のペースに戻ります。


オペラ『おこんじょうるり』は冒頭写真の4人が出演者。
演奏は本来はピアノのみですが、ミラマーレバージョンでは打楽器が入り、森や水や空気感、神秘や、衝撃など、さまざまな音を打楽器で出してくれます。


その数はすごいもので、バチを替えるだけでも違う音や響きになる打楽器は何十という数です。




私は「ばばさま」という盲目のイタコの役をしています。
年老いてイタコもうまくいかず山奥に1人ひっそり暮らすばばさま。生きる気力も失いかけているところで出会う、きつねの「おこん」との心の触れ合いや絆が描かれています。おこんが浄瑠璃をうなる『おこんじょうるり』です。
そこに、狩人のじんざ、馬子のごんすけが絡み、人間や動物の命、お金の尊さや怖さ、寂しさ、あたたかい心など、大人が普通に心ゆさぶられる童話(民話)が元になっています。
いまでも絵本を読むと号泣しますが、オペラになると、これがまた音楽の力が揺さぶりに拍車をかけて泣かずに観るなんて出来ない作品です。


昨日の公演には同業者のソプラノさんが観に来ていました。狐とばばさまの心の交流が始まった、わりと最初の方からハンカチで顔を抑える様子が見えていて、終演後話してもずっと泣いていました。直球がどんどん心に飛んでくるような、そんな作品なんです。


昨年の文化庁巡回公演の時は照明やもう少し多めのセットでしたが、今回の3公演は限界まで削ぎ落としたようなシンプルな上演。照明デザイナーのつくる舞台照明というのは作品をふくよかにし、演者を助け、観るものがより中身に誘われる素晴らしい芸術アイテムなんですが、それが無い中で、さぁ、どうする!? 音楽とストーリーの強さを信じて、演技と声と歌とで真っ向勝負的な感じでした。


どううつるかは蓋を開けてみないと分からない不安がありましたが、それぞれの心に何かが響いているんだと、生徒さんのその場の感想から理解できました。少し安心もしました。


でも個人的にこの役は過去に演じてきたどの役よりも手強いです。難しさを稽古のたびに叩きつけられて、打ちのめされて、心が折れそうなほど。投げ出しそうにもなったほど。
今までやってきた役にそれぞれ私なりの手法があるとしたら、そのどれも通用しませんでした。どうやっても何か違うらしく(もちろん自分もしっくりいってませんけど)、作品にのめり込めるほど好きな作品なのに、ばばさまをどう歌って演じていいか分からなかったんです。これこそ新境地ですね。そりゃあ手強いです。
周りも、視点を変えながら色々意見や指示を下さるのですが、自分の中で何か一本筋が通ったものがないから受け取り方も間違って右往左往。


しかしこの右往左往がありがたい。機会があるからこその悩みですから。ほんとに。
役というのは出来上がることは一生無いと思いますが、来年も1回公演が決まっているので、「ばばさま」に向き合っていきます。






にゃんむう、にゃんむう…ふんわか、すんわか……




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